2023年公示地価は商業地、住宅地共に上昇

2023年公示地価が発表されましたが、最近の不動産の高騰ぶりと物価上昇を反映するような安定した上昇局面に入っているのかもしれません。
今までの日本経済ではバブル以降上昇すると下がるという考えが強かったですが、先の春闘での賃金上昇や初任給アップなど諸外国の賃金との格差も話題となり、政府の目標とする年2%程度の物価上昇に合わせた安定した経済指標になるかもしれません。
2%づつ上昇したと仮定すれば10年で20%も物価が上がるということですから、外国の方から見ると自国の不動産と比較して東京の安定した不動産は人気も出ているのも事実です。

■これから不動産購入をされる方は、公示地価の上昇地点を把握する!

国土交通省が3月22日に発表した2023年1月1日時点の公示地価は、住宅地や商業地といった全用途の全国平均が前年比1.6%上昇したそうです。上昇は2年連続で、リーマン・ショック前の2008年(1.7%)に次ぐ水準となりました。住宅地で上昇した理由として、現在、共働き世帯で「パワーカップル」と呼ぶ高所得世帯が増えたこと、歴史的な低金利、新型コロナウイルス感染症拡大による在宅勤務が増えた事による住宅購入動機の高まりが大きな要因だそうです。これから不動産購入をしようと思われている方は、このようなデータを確認し、「地価が高いエリア」は高まる理由のあるエリア、逆に地価が下がっているエリアは下がる理由のあるエリアです。可能であれば、このようなデータを確認し、「地価が高くなっているエリア」での住宅購入が不動産の資産価値が下がり難いエリアである事を把握しておきましょう。

<国交省 公示地価>

政府は、外国からの個人旅行客の入国を解禁し、これまで「1日あたり5万人」としていた入国者数の上限を撤廃しました。結果、海外の往来の回復や海外マネーの流入で都市部の商業地が伸びておりますが、地方では価格下落も続いています。米欧の金融システム不安などによるマネー流入の鈍化はリスクとなっているようです。

全国平均の上昇率は2022年(0.6%)を1ポイント上回り、新型コロナウイルス禍前の20年(1.4%)を超えました。上昇地点は調査対象の全国2万6000地点の58%(22年は43.6%)に達しております。商業地は全国で1.8%上昇し、オフィスや店舗が集中する都心部がけん引したようです。東京23区では千代田、中央、港の都心3区が3年ぶりにプラスとなり、それぞれ2.1%、2.1%、2.8%上がりました。

■そもそも『公示地価』って何?!

公示地価とは企業や個人の土地取引、公共事業用地の取得に関する価格の目安となる土地の価格。国土交通省が全国で2万6000地点の1月1日時点の1平方メートルあたりの価格についてまとめ、毎年3月に公表しているものです。地価公示法に基づく調査で「住宅地」「商業地」「工業地」といった土地の用途別に分類して示すことになっています。

調査は建物の価値などを含まず、土地を更地として扱い、全国の鑑定評価員(不動産鑑定士)が選定と評価を実施します。2023年は東京電力福島第1原子力発電所の事故が影響している7地点を除いて調査を実施しました。

主な地価の指標には公示地価のほか、国税庁が毎年夏に公表する路線価(1月1日時点)、都道府県の調査をもとに国交省が9月にまとめる基準地価(7月1日時点)があります。路線価は主要な道路に面する32万強の地点が対象で、相続税や贈与税の算定に使われています。

■公示地価を確認すると、不動産購入はやはり都心に集中するべき?!

東京、大阪、名古屋の三大都市圏も商業地が2.9%上昇し、前年は横ばいだった大阪が3年ぶりにプラスに転じた。コロナ禍からの経済社会活動の正常化が進み、都心回帰の傾向を映し出しております。また、先進7か国(G7)のうち、入国者数に上限を設けていたのは日本だけで、「鎖国」と呼ばれた状態を解消し、インバウンド(訪日外国人)の回復期待から東京・浅草や京都・祇園といった観光地で上昇が目立っています。ちなみに、2019年に3188万人だった訪日客は、一昨年は24万人に激減していました。

住宅地は全国で1.4%上がりました。都市部でマンション価格が高騰し、コロナ禍でのテレワークの浸透などで交通利便性が高い郊外でも地価が上昇しているようです。都内の不動産価格の上昇はパワーカップルと呼ばれる高所得者世帯で無いと不動産購入は難しく、周辺エリアでの住宅購入をしなければならない状態を表しています。千葉県木更津市ではJR袖ケ浦駅から約2キロメートル地点の上昇率が20.9%となっていたようです。

大型再開発や交通インフラの整備が進む地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)は全用途平均で8.5%上がりました。プロ野球の新球場開業で住宅地の人気が上昇している札幌近郊の北広島市が複数の地点で約3割上がるなど、4市の周辺にも波及しています。4市を除く地方圏は住宅地が28年ぶりにプラスとなりました。

都道府県別にみると、人口減などで地価の下落が続く地方県は少なくない。商業地ではおよそ半数の23県(前年は29府県)が、住宅地では22県(前年は27県)がそれぞれマイナスにとどまっています。これから不動産購入をされる方は、不動産の資産価値とのバランスを考慮しての判断が必要となります。

日本の不動産市場は低金利で資金調達でき、年間賃料収入を物件取得価格で割った投資利回り(キャップレート)は安定しているとされています。不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)によると、2020年の日本の不動産投資総額に占める海外投資家の比率は34%で、コロナ禍でも魅力的な市場と位置づけられていました。米欧の利上げ長期化による景気後退など先行きには不透明感もあますが、海外の投資マネーが流入している事も価格上昇に繋がっている事を把握しなければなりません。

不動産購入時には『資産価値』が下がり難い住宅をお求めいただきたいと思います。今後の参考にお役立て下さい。

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