1月1日に発生した令和6年能登半島地震は甚大な被害をもたらしました。亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方、そのご家族及び関係の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
今回の地震被害の影響からか、建物の耐震性についてご質問いただくことが多くなったので、住宅購入時に知っておきたい耐震の基本的な情報をお伝えします。
□エリアの特性と建物の性能を分けて考える
まず初めに整理しておきたいのが、土地(そのエリアの特徴)と建物の性能は別問題として捉える必要があるということです。
例えばCMでも謳われるように震度7でも大丈夫というような頑丈な家を建てるとします。建物が頑丈だとしても、液状化が懸念される土地の場合、想定よりも大きな被害になる可能性がありますし、津波警戒エリア内だった場合は、地震で大丈夫だったとしても津波で家屋が流される恐れがあります。
別の視点で言うと、液状化の心配ない頑丈な地盤のエリアだとしても、旧耐震物件のように耐震性が低い建物だった場合は、家屋に被害が出る恐れがあります。
住宅の耐震性と言うと家屋の耐震性能に目が行きがちですが、特にこれから家を買う方は、地震被害に見舞われにくいエリアを選ぶことができるという、防災のメリットを損なわないよう、十分に検討したいところです。
□個人の都合と防災上の都合は相反するところが多い
日本は災害大国なので、ハザードマップを眺めると全てを満たす安全なエリアを探す方が困難です。だからといって何でもかんでも妥協するのは間違いです。
ハザードマップの中でも津波、土砂災害、火山の対象エリアは、災害が発生した場合に家族の生命に直結する大きな被害となり得るので可能な限り避けたいところであり、これから家を買う方が災害対象エリアを積極的に選択するべきではありません。
ただ、こういったエリアは、同一地域内でも比較的安く販売されていたりするので、うっかり手を出してしまう人も少なくありません。
特に海岸エリアは要注意です。せっかく海の側に住むのだからと、海寄りの立地を選択してしまうと、地震が発生するたびに、避難を繰り返さなければならない生活となります。
「○○だから」と、どんな立地であっても肯定的に捉える言い訳はたくさんあります。しかしご自身が思うその理由や、業者がPRするその理由は、得てして防災の観点では相反することが多いので、特にエリア選定においては、ハザードマップを良く眺めて、検討しているエリアのマイナス情報にもしっかり目を向けることが大切です。
□建物の耐震性は建築年月で大まかに判断できます
建築基準法は大きな災害が発生するたびに改正を繰り返しています。従って建築年月を見ればある程度の耐震性を判断することができます。
まず注目したいのが、昭和56年6月以降と5月以前の新耐震・旧耐震です。昭和56年5月以前の旧耐震物件は、国が既存不適格住宅と位置付け、何かしらの改修工事が必要と判断されている建物です。
もちろん旧耐震の物件でも戸建てであれば耐震改修工事を行うことは可能なのですが、費用がかかり過ぎるため、古民家再生のように改修費用を上回る動機がなければあえて旧耐震を選択する合理的な理由はありません。
決して物件価格が安いからと言って安易に手を出してよい物件ではありません。
旧耐震のマンションはもっと判断が難しいです。
マンションは共有物なので、住人全体の合意が得られなければ耐震改修が実施できないからです。
以上のことから、余程の理由がない限り、旧耐震物件は避けた方が良いと思います。
新耐震なら良いのかというと実はそうでもなくて、阪神淡路大震災の教訓を受けて平成12年6月に建築基準法が改正されており、新耐震であっても平成12年5月までの住宅は何らかの対策が必要だと言われています。
新耐震だから大丈夫ではなく、最低限耐震診断くらいは実施したいものです。
東京の城南エリアは湾岸エリアを除いて、比較的元々の土壌のエリアで不動産調査を行っても液状化の可能性が高い場所が少なく安心感も御座います。
多摩川周辺は温暖化による影響で水害の可能性は御座いますが、ハザードマップの確認をおススメしております。
※ハザードマップの内水については、集中豪雨などの影響を加味したもので、比較的短い時間で水がはける傾向もありますので、内陸部では自治体の出している過去の事例を参考にすることが良いと思います。
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