こんにちは、株式会社ジェイランドです。
マンション選びや内見の際、部屋の隅にある「柱」や天井を走る「梁(はり)」の出っ張りが気になったことはありませんか? 「この出っ張りがなければ家具がもっと置きやすいのに……」と感じる方も多いかもしれません。
実は、この梁や柱は建物を支えるための非常に重要な存在です。しかし最近では、建築技術の進化により、この出っ張りをなくしてスッキリとした空間を作る工法も増えてきています。
今回は、マンションの「梁や柱が出っ張る理由」と、広々とした空間を実現する「最新の工法」、そして梁を逆手に取った「インテリアの工夫」について解説します。
なぜマンションには梁や柱があるの?
多くのマンションで見られる柱や梁の出っ張り。これは、**「ラーメン構造」**と呼ばれる建築方式に由来します。
ラーメン(Rahmen)とはドイツ語で「枠・額縁」を意味します。柱と梁をしっかりと接合して枠組みを作り、その「枠」で建物の重さを支える構造です。 耐震性が高く、壁を取り払って広い空間を作りやすいメリットがある一方で、建物を支える太い柱や梁が室内に露出してしまうという特徴があります。
しかし近年では、居住性を高めるために、これらの出っ張りを隠したり、なくしたりする様々な工法が採用されています。
構造形式による違いを知ろう
マンションの構造は大きく分けて2つのタイプがあります。
1. ラーメン構造(柱と梁で支える)
中高層マンションで最も一般的な構造です。 前述の通り、通常は室内に柱や梁が出ますが、以下のような工夫でスッキリさせている物件もあります。
- アウトフレーム工法 柱や梁を住戸の「外側(バルコニー側や共用廊下側)」に出す工法です。室内に出っ張りがなくなるため、家具の配置がしやすくなります。
- 逆梁(ぎゃくばり)工法 通常は天井から下に出っ張る梁を、床から上(バルコニーの手すり壁など)に設ける工法です。これにより天井面がフラットになり、ハイサッシ(背の高い窓)を採用できるため、開放感が生まれます。
2. 壁式構造(壁で支える)
柱や梁ではなく、「壁」全体で建物を支える構造です。
- 特徴: 室内に柱や梁の出っ張りが現れません。非常にスッキリとした空間になります。
- 注意点: 構造上の制限により、主に低層マンション(5階建て程度まで)に採用されます。また、構造壁であるためリフォーム時に壁を撤去できない場合があります。
「梁のない空間」を作る代表的な工法
さらに近年では、特殊な技術を使って空間を広く見せる工法も人気です。
ボイドスラブ工法
「梁のないすっきりした空間」を実現する代表的な工法です。 厚みのあるコンクリート床(スラブ)の中に、円筒状の空洞(ボイド)を設けます。こうすることで床全体が梁の役割を果たし、小梁をなくすことができます。
- メリット: 天井がフラットで開放的な空間になる。
- デメリット: スラブを厚くする必要があるため、建物全体の高さが高くなり、建築コストが上がりやすい傾向にあります。
アウトポール工法
柱(ポール)を室外に出す(アウト)工法です。 室内の柱型(出っ張り)がなくなり、部屋の隅まで有効に使えるため、家具レイアウトの自由度が格段に上がります。
- 一般的なアウトポール: バルコニー側に柱をずらすタイプ。
- 逆梁アウトポール: 柱を逆梁の位置に設置するタイプ。
- ダブルアウトポール: バルコニー側だけでなく、廊下側の柱も外に出すタイプ。最も室内がスッキリします。
無梁・中廊下構法
中廊下タイプのマンションで見られる技術です。廊下の上部にあった梁をなくし、床スラブだけで繋ぎます。 梁の下を通していた設備配管の位置を上げることができるため、階高(床から上の階の床までの高さ)を抑えつつ、効率的な設計が可能になります。
梁を活かしたインテリアの工夫
「気に入った物件があるけれど、梁の圧迫感が気になる……」 そんな時は、インテリアの力で梁を空間のアクセントに変えてしまいましょう!
- アクセントクロス: 梁の部分だけあえて色や柄の違うクロスを貼ることで、デザインされた「意匠」のように見せることができます。
- 間接照明: 梁に沿って間接照明を設置したり、梁の下を照らすことで、陰影のあるスタイリッシュで奥行きのある空間を演出できます。
- ゾーニングに利用: 「梁の下にソファを置く」「梁を境にリビングとダイニングを分ける」など、空間を緩やかに区切る目安として活用するのもおすすめです。
最後に:物件選びのポイント
梁や柱は、建物の安全を守るために欠かせない構造体です。そのため、リフォームであっても勝手に削ったり撤去したりすることは絶対にできません。
物件を選ぶ際は、単に「出っ張りがあるかどうか」だけでなく、「どの工法が使われているか」「家具を置いたときにどう影響するか」をイメージすることが大切です。 築年数や構造形式によっても特徴が異なりますので、そのマンションならではの個性を理解し、工夫して住まうのも楽しみの一つと言えるでしょう。
株式会社ジェイランドでは、構造の特徴も含めた詳しい物件解説や、梁や柱を活かしたリノベーションのご提案も行っております。 「この間取り、どう使えばいい?」といったご相談も、お気軽にお問い合わせください。
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